春分の日の今日、思い立って吉野山(よしのやま)に行ってみた。
まだ桜は咲いていないものの、桜の名所として知られているので、混雑具合をはかりかねて、早めに出発して昼までに帰ろうと朝7時に出発した。近畿道・南阪奈、国道169号経由。
がらがらの駐車場
吉野山の桜は、植えられているエリアよって名前があるようで、地図などをみると下千本、中千本、上千本、奥千本にわけられている。1時間半くらい走って、そのうち、下千本の近くの駐車場に到着した。
駐車場は優に百台以上は入りそうな大きなものだったが、がらがら。時間も早く、天気もよくなかったとはいえ、予想外だった。やっぱり桜が咲かないと来る人は少ないんだね。
ちなみに、昼ごろ帰る時でもそんなに車は増えていなかった。
その後、事前調査で奈良の東大寺に次ぐ大きさの木造建築物であると聞いていた、金峰山寺の蔵王堂に向かうことにした。
二天門
これが蔵王堂?でかい!高い!
・・・って思ったけど、これは二天門というらしい。間違えてしまった。看板によると、吉野に来た修行者の入り口だったって。
二天門をくぐろうとすると、左右に仁王様が登場。東大寺の仁王様は、大きすぎるのと金網で囲まれていたりするけど、ここの仁王様はそんなことがないので、近い距離から見ることができた。
血管が浮き出た足。さすが巨体を支えている足の指は太い。というか、親指と小指の太さが同じ。
蔵王堂
そして、石段を上がると、右手に今度こそ蔵王堂が!いや、これは大きいね!そして立派!二層の屋根の重厚感がすごい。
このあたりにも人はほとんどいなかった。物音といえば、自分の足下で砂利を踏む音と、静かに雨粒が落ちる音くらいしかしなかった。
周囲が静かなことで蔵王堂の存在感が増しているように感じた。奈良の東大寺大仏殿はこれより大きいけど、ほかの参拝者も多く注意が散るからか、こんなにも圧倒的な迫力を感じなかったように思う。
正面からの写真。お堂の内部は撮影禁止だった。
何かの花の形をした大きな器のようなもの。雨水が溢れている。晴れた日に来ていたら注意を払わなかっただろうな。
蔵王堂の軒下で雨音を聞いていると、スピリチュアル趣味めいているかもしれないけど、時空を超えるような感覚があった。
たぶん、木造の建造物が雨に濡れて、自分がその中にいるときの感覚が、何らかの過去の記憶と結びついているんだと思う。肌で感じる温度や、柱の表面の感触、雨粒が地面や屋根を打つ音、鼻の奥で感じる湿った空気といったもの。
小学生のころ雨の日に家の中で一人本を読んでいた記憶や、もうちょっと大きくなって芥川の羅生門を読んだ時の感覚が蘇ってきて、他にもある気がするけど、思い出せない。
脳天大神
その後、観光地図に「脳天大神」という、聞いたら忘れられないような神様の名前を見つけたので、ついでにお参りしてみた。
ここの神様は、「首から上」のことなら何でもご利益が期待できるらしい。だから「脳天」なのかな。
そして、たぶんお百度参りのようなものだと思うけど、細長い回廊をぐるぐる行きつ戻りつ廻って、一周ごとに一礼して手に持った木の棒を箱の中に入れている人々がいた。子供がいたのは学業成就のお参りかも。
また、そこに行きつくまでの道に、かなり多くの神様が祭られているのだけど、数人の老若男女のグループが、一カ所ずつお参りしていた。
こういうあからさまな信仰を目の当たりにしてしまうと、初詣くらいしかお参りしない人間は、何だか戸惑ってしまう。
なんだかずいぶん写実的な神様。姿形も独特。
下千本
肝心の桜は、当然まだ咲いていない。咲き始めるのは、だいたい4月かららしい。
道路から、霧のかかった遠くの山々を見渡したところ。桜が咲いたらどんな風景になるのかな。
ちなみに、お花見期間中は交通規制があるとのこと。
参考情報
- 吉野山桜情報?<http://www.sakura.yoshino.jp/>
- おくに navi 奈良県(JAF Mate 2008年3月号)