「激震マスメディア テレビ・新聞の未来」(NHK ; 2010-03-22 22:00)

感想の概要

  • 既存メディアとネットは対立しているということがよくわかった
  • 公共性のある報道の確保、および上記対立が報道の発展を阻害しないようにすることが課題
  • 佐々木俊尚氏のご尊顔を初めて拝見したように錯覚した。なんだか…痩せはった?

どんな番組?

絵にかいたような、既存メディア対ネットの番組だったのは残念。

自己正当化と批判の投げあいで、時間のほとんどが消費されてしまった。日本の今後を考える上でどうしたらいいの?という視点がほとんどない。司会以外では、おばちゃん(早稲田かどこかの教授)が、そういう視点を持っていたとおもうけど、対立の間に割って入るほどアクティブではなかった。

途中で挿入されたネット版の日経新聞やら、ポリティコの事例の VTR はおもしろかった。というかもっと見たかった。

既存メディア代表側は、けんか腰というわけでもないけど、発言の端々から、ネットが邪魔だわ?という感じがありありと伝わってきた。

佐々木俊尚氏も、既存メディアが高コスト体質なんて批判しちゃったり、指摘されたネットの問題点についてはネットの仕組み自体の問題ではないと反論するなど、ちょっと対立の構図に入り込んでしまっているように思った。

既存のメディアとネットは敵どうしなの?

既存メディアとネットは、決して相容れないものではないはず。

確かに、情報を提供するという市場のプレイヤーとしては対立関係にある。しかし、どんな情報をどうやって提供するか、という方法までが、対立関係にあるわけではない。新聞がインターネットで記事を配信してもいいし、ポリティコのようにネット企業が独自に取材をしてもいい。第一、ネットで流通しているコンテンツの多くは既存メディアに依存している。

その点で、新聞は信頼度が高いとか、既存メディアは専門家である、なんて発言は、部分的に真実を含んでいるとしても、こういう場では対立を硬直化させるだけだ。テレビや新聞社の経営層がそういう発言をしていたのは残念。

私は、既存メディアとネットの対立で争点になりうるのは、公共性のある報道を今後も確保する方策についてだと思っていたのだけど、それについては十分に触れられないまま番組が終わってしまった。

先日、毎日新聞が地方の取材網を廃止したという話もあったけど、既存のメディアによっては、変化についていけず、つぶれてしまうものもある。それは仕方ないとして、それによって我々が失うものは何か、失われるものがあるとすればどういう対応が必要か、という議論が聞きたかった。

対立自体が新たな問題を作っていないか?

番組を見ていると、既存メディアとネットの対立が強調されるあまり、お互いがその対立における立場にとらわれて、柔軟性をなくしてしまい、望ましいメディアの発展が阻害されてしまわないかが心配になった。

ドワンゴの社長の発言に、新聞やテレビのニュースは、ネットユーザーにとって「別の国の話」である、というものがあったが、新聞やテレビ側の人も、ネットユーザーを「別の国の人」とは思ってしまったら、大げさに言うと、新たな階級対立が生じるようなものだ。

とりあえず NHK には、NHK オンデマンドが4月から IE 依存ではなくなるけど、もっと踏み込んで、携帯端末でも閲覧可能にしてほしいな。すごいたくさんコンテンツもってるのだから、見せ方によってはネット視聴時間奪えると思うのだけど。

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