あらすじ
終末戦争で現代社会が崩壊してしまった近未来の世界で、デンゼル・ワシントン扮する主人公が、とある本を何らかの目的でもって、どこかに持っていこうとするお話。
空白がいっぱい
この映画は、描ききっていないというか、意図的に空白のままにした部分がかなりあると思う。
主人公の目的意識だとか、30年何してたの?とか、問題の本とその性質だとか、映画本編の前後のストーリーとか。観ていてもはっきりとわからない。あとは絵柄がなんとなくメリハリのない色使いで、これもあえて色合いを抜いているのかな。
物語の主題は間違いなくキリスト教なので、おそらく、こういった空白部分は、観る者のキリスト教の信仰で補え、ってことなんじゃないだろうか。シャマランの「サイン」みたいに。
この点、サインが単純なSFとしても楽しめたに比べて、ザ・ウォーカーは、何と言うか淡々としていて、紙芝居っぽい。
しかも、描かれている出来事自体も理解不能なことが多い。なぜか弾が当たらなかったり、問題の本が一冊しか残っていないとか、そんなことありえないでしょ、っていう。もしかしたら、この物語が下敷きにしているモチーフがキリスト教にあるのかも?
登場人物に魅力がちょっと・・・
ゲイリー・オールドマンが扮する役にもっと魅力を感じさせるものがあればよかったように思う。ルールなき世界で荒くれどもを取りまとめ、一方で町の復興に尽力しているというのに、何とも弱っちい、本の力にすがろうとする小物という感じしかしなかった。
でも、こいつがそれ相応のカリスマを備えていたら、バランスをとるために主人公をもうちょっとパワフルにしないといけないだろうから、そうしたらアクション映画みたいになってしまうかな。
ヒロイン(ミラ・クニス)も、なんだかあんまりかわいくない。
やっぱり主人公が何考えているのかわからない時点で、無理。典型的日本人がこの映画をエンターテイメントとして楽しむためには、相当な想像力が必要になるんではないだろうか。
個人的には、ふーんで終わった。
公式サイト
- ザ・ウォーカー <http://www.thewalker.jp/>