私が言いたいのは特殊な現実の中にあっては?というのはもちろんこの馬鹿げたつるつるのエレベーターのことだ?非特殊性は逆説的特殊性として便宜的に排除されてしかるべきではないか、ということである。機械の手入れを怠ったり来訪者をエレベーターに乗せたきりあとの操作を忘れてしまうような不注意な人間がこれほど手の込んだエキセントリックなエレベーターを作ったりするものなのだろうか?答えはもちろんノオだった。
【概要】
ボタンもなく、だだ広い、上がっているのか下がっているのかも分からないエレベータの止まる気配がない。暇つぶしに数えたポケットの小銭の計算を3年ぶりに間違えて、私は神経質になっていた。
エレベータの扉が開くと、そこには太った、しかし若くて美しい女がいた。女は、「こちらへどうぞ」と言ったが音声は聞こえなかった。長い廊下を歩き、ひとつの扉にたどり着くと、女は扉を開け、「そむと、せら」とその口が動いた。私は頷いて部屋に入った。
【感想】
村上春樹を初めて読んでみるということで、友人に「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を薦められました。毎日少しずつ読んでいく予定です。
なんだか、言葉を尽くして、状況や「私」の感情をきっちりと伝えている感じのある文章。エレベータの中で神経質になったり、若い女に対する肉欲の具合が、とても鮮明に読み取られる気がします。
【固有名詞】
ダニー・ボーイ…アイルランドの民謡。(youtube.com)
ワーロック…1959のアメリカ映画。西部劇。
ヘンリー・フォンダ…20cのアメリカの俳優。「12人の怒れる男」にも出演しているそうだ。全然覚えていない。(ja.wikipedia.org)
マルセル・プルースト…19c〜20cのフランスの哲学者。(ja.wikipedia.org)